シャックリ川調査

図III-2 シャックリ調査結果
 
調査にあたって
 名張川の支流の一つであるシャックリ川は、名張市の中央部を流れる全長3kmあまりの小さな川です。昔は美しい自然の恵みいっぱいの川だったそうですが、現在は市内の中で最も汚れた川となっています(名張川調査結果参照)。汚濁の原因は、もともと水量の少ないこの小さな川に、大型住宅団地の大量の汚水処理水、国道沿いの店舗などの排水が流れ込んでいることによります。また、川のほとんどが三面張りコンクリート護岸のため、本来の川の自浄能力が低下しています。このシャックリ川をもっと自然豊かな美しい川にすることを願い、地元の「川の会・名張」の方々が「シャックリ川流域探検マップ」を作成することになり、本調査とは別に詳しく調査することになりました。
 調査地点は、(1)最上流は雑木林の中で自然の残った所ですが、流下するに従って桔梗が丘、富貴ヶ丘などの団地排水、工場団地排水が流入し、(9)宮橋の下流で名張川本流と合流します。
 
都市河川の典型のようなシャックリ川
 図III-2を見てください。(1)最上流では若干BODが高いですが、シャックリ川流域では最もよい水質を示していました。しかし、桔梗が丘第3処理場排水下流の(2)堂田橋下では、CODは(1)最上流の2倍以上の値であり、生活排水の影響を受けたことが顕著になります。(4)165号線、(5)原出松山スポーツ店前、(7)近鉄鉄橋下、(8)宮橋と市街地の中を流れていきますが、COD、BODともに値が高く、最下流の(8)宮橋は(1)最上流と比較してBODで約2.9倍、CODで約4.3倍の値になりました。
 
コミュニティプラント(合併浄化槽)排水の規制強化を
 図III-2でコミュニティプラント排水や工場排水に着目してもう一度見てみると、今回調査した(3)桔梗が丘第2処理場排水、(10)富貴ヶ丘第1処理場排水、(11)蔵持工場団地排水はいずれも水質が悪いことが目立ちます。水質汚濁防止法上では、工場排水のBODは一日平均値で120mg/L、コミュニティプラント排水は名張市の条例でBOD20mg/Lに規制されています。これらの排水は、基準は満たしているので法律上は許されますが、シャックリ川の水質悪化の大きな原因であることが分かります。
 工場排水は河川に流入すると10倍ぐらいは希釈されるため、高い基準値でもよいとされているのですが、シャックリ川のような中小河川では流量が少なく、排水は十分希釈されません。今回の調査で、シャックリ川の水質悪化の原因にはコミュニティプラント排水の占める割合が大きく、現在の排水処理技術からすれば十分改善の余地があることが明らかになりました。早急に対策を取ることが必要です。
(C) 2001-2006 淀川水系の水質を調べる会