柘植川追加調査

図V-2 柘植川追加調査結果
 
調査の概要
 柘植川調査で水質悪化が目立った柏野橋と佐那具排水路について、追加調査を行いました(柘植川調査結果参照)。佐那具排水路については、年間調査の調査地点だった(1)佐那具排水路を含む8地点((1)(8))で採水を行いました。年間調査では排水路の流末のみの調査だったので、今回は上流までさかのぼって採水を行いました。(13)柏野橋も年間調査の調査地点ですが、橋のすぐ上流に大きな食品工場があり、排水が流入しているので影響を見るために採水を行いました((11)(13))。
 
佐那具排水路の汚染源はA食品工場排水
 佐那具排水路の上流へさかのぼると、最上流は工業団地の排水から始まっていました。最上流の(8)工業団地排水では、すでに最下流の(1)佐那具排水と同程度の汚染が見られています。しかし、柘植川本流から分水された(6)農業水路の流入などによって、中流の(4)A食品工場上流では水質の改善が見られました。ところが(3)A食品工場排水の流入によって、(1)佐那具排水路で再び水質悪化が見られました。(3)A食品工場排水はBODが690mg/Lと排水基準を大幅に超えており、流量は少ないものの、佐那具排水路の負荷量の半分を占めることが明らかになりました。
* A食品工場が水質汚濁防止法上の特定施設に該当する場合、BODは日平均120mg/L(最大160mg/L)という規制が適用されます。
 
柏野橋への寄与が大きいB食品工場
 (12)B食品工場排水の流量は(13)柏野橋に対して約5%であり、わずかなものでした。しかし、BODなどの測定結果(濃度)に流量を掛け合わせ負荷量を算出すると、その影響は少なくないことが分かります。図V-3〜図V-5はBOD、全窒素、全りんの柏野橋への汚染の寄与率を表したものです。BODで見ると(12)B食品工場排水の寄与は11%ですが、全窒素で22%、全りんでは89%にも及ぶことが分かりました。全りんの寄与が特に高い原因としては、B食品工場は食肉加工工場であるので、食品添加物としてのリン酸塩などの使用が考えられました。
図V-3 柏野橋への寄与率
(BOD)
図V-4 柏野橋への寄与率
(全窒素)
図V-5 柏野橋への寄与率
(全りん)
 
短期的、そして長期的な水質改善を
 柘植川で汚染の目立った佐那具排水路と柏野橋については、追加調査によってそれぞれA食品工場、B食品工場の負荷が大きいことが明らかになりました。これらは排水処理が改善されればすぐにでも水質改善が見込めるはずであり、早急な改善措置が望まれます。
 しかし、柘植川全体の水質改善でいうと、生活排水とゴルフ場排水の改善が不可欠だと考えられます。土地利用の見直しを含めた長期的な水質改善が必要だと言えるでしょう。
(C) 2001-2006 淀川水系の水質を調べる会