上野市河川調査

図IV-1 上野市河川調査結果(年平均値)
 
調査地点の概要
 図IV-1を見てください。上野市は西部を南から流れる木津川、南部を東から流れる久米川、北部を東から流れる柘植川、服部川が四方を取り囲み、西北端で合流して木津川本流となっています。また、木津川上流域で最も人口の密集した地域でもあります。下水道未普及地域ですが、古くからの市街地には暗渠の配水管が敷設され、生活排水は雨水と共に数本の河川や排水路に集めて放流するのが特徴的です。
 今回の調査では、上野市の旧市街地を取り囲んで流れている木津川・服部川・久米川に着目し、それぞれの上流から下流の合流点まで、主な支流との合流点ごとに採水しました。また、市街地の生活排水路の末端部で採水し、汚濁負荷源としての生活排水の寄与が分かるように調査を行いました。
 
木津川の汚濁原因は上野市の生活排水
 各採水地点での測定結果の年平均値を図IV-1に示しています。COD値でそれぞれの河川の上流と下流を比較してみましょう。木津川の(4)猪田潜水橋(上流)と(2)新長田橋(下流)で1.7倍、服部川の(13)持中橋(上流)と(11)四村橋(下流)で1.8倍、久米川の(33)喰代(上流)と(31)芝床橋(下流)で5.3倍と、CODの値が高くなることが分かります。それぞれ、上流と下流の間で上野市の下水路が合流し、相当量の生活排水が流入するためです。
 
上野市の生活排水の集中は問題
 国道沿いのレストランや商店の排水が流入する(22)大戸川、旧市街地の排水が流入する(23)往古川、東部の住宅地の排水が流入する(45)緑ヶ丘排水は、BOD、COD値ともに非常に高く、汚染の進んでいることが分かりました。上野の旧市街には大きな工場は無く、これらの汚染のほとんどが生活排水によるものと考えられます。
 雨水と生活排水を暗渠の配水管で排水するシステムが逆に命取りとなり、下水道の普及の遅れや、生活排水で木津川を汚染することにつながっていると考えられます。木津川の水質をよくするためには、上野市の生活排水対策を緊急に取り組む必要があります。
 
大戸川生活排水浄化施設の建設
 この調査がきっかけとなって、大戸川を流れる上野市市街地からの生活排水を浄化するための植生浄化施設が建設されることになりました。生活排水処理施設の設置に市民と行政(国・三重県・上野市)がパートナーシップを組み、計画から建設、維持管理まで共同で行うという全国的にも珍しい取り組みです。浄化施設は建設中(2003年1月現在)ですが、「淀川水系の水質を調べる会」では施設完成後の性能評価など、今後も河川浄化の取り組みに協力していく予定です。
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